「ミナモの涙」制作後記
このコラムは僕が3年前に制作したビジュアルノベル『ミナモの涙』の制作後記・自己反省をしております。
もともと、サイトトップで4回に分け連載していたものを1ページに纏めてみました。
少し長いですがお付き合いください。
※以下、「ミナモの涙」のネタバレがありますご注意ください。
本編のダウンロードはギャラリーよりどうぞ→コチラ
ミナモと物語の正体
この物語を書いたのは3年前の秋。
…今見ると非常に恥ずかしい出来&内容で「いますぐ書き直したい!」という駆り立てられますが、まずは反省と自己評価。少し長くなりますがおつきあいください。
物語のテーマは『日常のすぐ隣にある非日常』です。
主人公は中学生の少年、『僕』。
多くの悩みを持つ『僕』は自分の心から『ミナモ』という謎の存在を生み出してしまい、いろいろな姿の『ミナモ』と遭遇し、最終的にミナモを通して自分の心と対面します。
白昼夢的な現実なのか空想なのかよく分からない世界観を目指しました。
・・・というか、全体的に良くわからないお話ですよね^^;
それを目指したとはいえ、あまりによく分からない物語にしてしまったのが第一の反省点です…
とくに『ミナモ』とは何者だったのか?…非常に分かりづらくなっています。
それは一応「あとがき/解説」として本編のあとで補完してあります。
あとがき/解説
まずは『ミナモの涙』を呼んで頂きありがとうございました。非常に抽象的で難解なお話だったと思います。このお話の世界は、現実の世界とちょっとだけずれた、ちょっとだけ可笑しな方向にバランスが傾いてしまった世界での出来事です。そのアンバランスな世界独時の空気、魅力を少しでも感じ取って頂けたのなら幸いです。
読み終えた方は気になったと思います。
「結局、ミナモってのは何者で、いったい何だったんだ?」と。
ミナモの正体はあえて物語上では明確にしていません。
ここではミナモの正体を紐解くヒントを書いていきたいと思います。
ミナモが現れるシーンでは水がキーワードになっていることに気が付いたでしょうか。『ミナモ』は漢字で表記すると『水面(みなも・すいめん)』となります。その名の通り、『ミナモ』という名は抽象的に「(空気と水の)境界線」、「鏡」を暗示しています。この物語ではその『水面』を通して主人公である『僕』の心を描いているのです。
簡単にいうと『ミナモ』は「心の見えない場所を映す鏡」です。皆さんも「認めたくない自分」、そういうものが心の何処かにあると思います。『僕』はそれを溜めて心の奥に封じ込めてしまったのです。それが鏡のように映し出されて具現化されたもの、それが『ミナモ』です。即ちミナモは誰の心の中にでもいるありふれた存在なのです。これを読んだ後でもう一度最初から物語を呼んで頂けたら非常に嬉しいです。
次にミナモが現れるのはあなたの前かもしれません・・・ (本編より引用)
あれ?意外とまともに解説してる。3年前の僕、がっばったな。
この通り「ミナモ」の正体は主人公の心を鏡映しにしたものです。
ミソなのは『ミナモ』は主人公の心そのままではなく、主人公の心を鏡に映したものを具現化した存在な事です。
鏡に映る自分の姿って気持ち、つまりは心の状態によって、全然違って見えますよね?
時は鏡に映った自分が、まるで別人のように見える時もあるでしょう。
だから『ミナモ』の姿は主人公の心によって姿や性格を変えるのです。
そして主人公の『僕』くんは『ミナモ』…鏡に映った自分の心と対面することによって悩みから解放されたのです。
なんとややこしい話を書いてしまったのだろう。反省です!
しかし物語の面でもう一つ大きな反省点が…。
それは…、まんま僕自身「火炎ロダンの物語」になってしまったことです。
執筆している時は気づいていませんでしたが、この物語は半分ノンフィクションになっています。
『中学生の少年が自暴自棄になってしまった時に起こしそうな行動一覧』を作ってその中で魅力的なシチュエーションを選んで物語を構成していったのですが、それがどうも『火炎ロダンが自暴自棄になった時に起こす行動一覧』になっていたようです。
そしてロケ地的な関係で、舞台を地元にしてしまったというのも相乗効果になって劇中の『僕』は作者そのものになってしまいました。
なんで自分で気づかなかったんだろう…。うわぁ、恥ずかしい…
自分の経験を前面に出すことは悪いことではないかもしれませんが、今見るとあまりに押しつけがましくて、反省です。
物語についてはこんな感じですかね~。
余談ですが、最近でも僕はちょくちょく「ミナモの涙」主人公の『僕』と同じような行動をとってしまいます(失笑)。
そのなかでちょっと不思議な出会いがありました。
2回目にミナモが現れる池のモデルになった公園があるのですが、ある夜僕は落ち込んでその公園を散歩していました。
疲れてベンチに座ったときです。僕の前に、突然黒猫が現れました。
僕はぼーっとしていたので、猫がまるで水の中から出てきたように見えました。
驚いていると猫は、なんと僕の膝の上に登ってきました。そして、クリクリした目で僕を見上げてきます。
それ以来、僕は彼女の虜です。僕は疲れを癒してくれた彼女に愛を込めて『ミナモ』と呼んでいます。
合成とイラスト
次は怪獣「ミナモ」のイラストと実景の合成についての解説を致します!
ネット公開版のアイコンにもしているこの画像。
おそらく、僕が『ミナモの涙』にて最も力をいれたシーンです。
このシーンを作りたいが為にこの作品を作ったと言っても過言ではありません。
では、このシーンを例にとってこのシーンの作り方をお話しします
このシーンは様々なレイヤーを重ね作成しておりますが、基礎となっているのは
「実景の丘の画像」と「ミナモの頭のイラスト」のこの2つです。
この2つの画像をうまく合成させるとこのシーンが完成します。
※以下クオリティーに絶望する可能性あり、ご注意ください><
それでこれが元々の実景画像。(諸事情で加工しております。)
元々はカラー写真で雨も降っていません。一部ビルも増やしてるかも。
フォトショで彩度、明度を調節し、雨を書き込んでいます。
よくみるとフェンスの高さも変わっていますね。
これはおそらくミナモの顔との対比を強調したかったからだと思われます。
そして、今度は問題の「ミナモの頭のイラスト」・・・
このひっくいクオリティーを見ても失望しないでくれっ
ぎゃああああああああ
公開するかしないか、本気で悩んだ画像ですが勇気を出して公開しました。
このひっどい絵が上の画像と同じものなのです。
劇的ビフォーアフター。見たか!フォトショの力を!!
…とは言ってもこのイラスト、一応いろいろ考えながら描いております。
PCに取り込んだとき一番効果的にみえる方法で塗ったり描いたりしているのです。
詳しくは企業秘密ですが…鉛筆デッサンと似た手法を使用しています。
現在、僕はもうこの手法は使っていませんが…
かなりお手頃にできるので興味のある方は実践してみてはどうでしょう。
今度はこのシーンを例に再作過程を紹介。
ぶっちゃけ あんまり人に教えたくない!
けど、せっかくなので少しだけ紹介しちゃいます。
上の画像の爆発やミナモの吐く熱戦の正体は…こいつです
そう、花火。夏の風物詩ですよね~(撮影した日は真冬)
コイツを綺麗にトリミングして加工すると上の画像の様な立派な熱戦になります。
モノクロでも使えますが、カラーで使ってもとってもきれい。エフェクトを書くこともできますがお手頃で花火はおすすめです。
爆発シーンや燃える街もいろんな花火を組み合わせて作っております。
最後にこのホラーチックな少女体ミナモと液体状ミナモをどんな風に作ったかお教えましょう。
これは割と残酷撮影方法をしておりますw
少女体ミナモも液体状ミナモもこのダイソーで買ったお人形さんを使用してます。
普通に可愛らしい。最近の100均は凄い。
可愛そうだけど…液体状ミナモはこのお人形さんをエフェクトでぐっちゃぐちゃにして制作してます…
そして少女体ミナモは…
水に頭から突っ込んでジャブジャブ。
ゴメン!まじでゴメン!そういう趣味なわけじゃないんだ!!
髪を靡かせるための演出です。お蔭で不気味さは出せたのかなぁ
さてさて…4回にわたり制作を振り返ってみましたが…意外と話せる話が少ない。(元々は4回に分けて掲載していました)
それは現在制作中の「サイコネクト!」でも使う手法が多いからかもしれません><
少しはためになったでしょうか?